便潜血検査で大腸がんの発見率について詳しく解説します!
便潜血検査とは?
便潜血検査(検便)とは便の中に血液が混入しているかを調べるための検査です。目に見えない程度の微量な血液であっても検出することができ、大腸や小腸などの消化管で出血がおきているか早期に見つける手がかりとなります。便潜血検査は大腸がんや大腸ポリープ、炎症性腸疾患などの病気の早期発見に役立ちます。
便潜血検査はただ便を採取するだけなので非常に簡単に行える検査です。そのため、会社の健康診断や目黒区の大腸がん検診でもよく便潜血検査が行われています。 『少量の便を採取するだけですが大腸がんは本当に見つかりますか?』『便潜血検査を受けて陰性(異常指摘なし)なら安心しても大丈夫ですか?』といった声をよく診察時に質問をいただきます。
便潜血検査で必ず大腸がんを見つけられるわけではありません。特に早期の大腸がんや小さなポリープは、出血を伴わないこともあるため、検査で陰性となることがあります。つまり、陰性だからといって完全に大腸がんやポリープの可能性を否定できるわけではないのです。その理由について以下で詳しく説明させていただきますので、、ぜひ最後までご覧ください。
便潜血検査による大腸がん発見率について
①便潜血検査で陽性であった人に実際に大腸がんが見つかる割合
便潜血検査で陽性と指摘された方のうち、約3の方で大腸がんが発見されていると厚生労働省などが報告しています。また、さらに精密検査をうけた方のうち、、約20〜40%の方が将来的にがん化する可能性のあるポリープが発見されていると言われています。
便潜血検査で陽性と指摘された方は必ず大腸カメラ検査を受診し、お腹の中の精密検査を受けるようにしてください。
②大腸がんをどれだけ見つけられるか(便潜血検査の感度)
便潜血検査の感度は、進行がんでは非常に高い一方で、早期の大腸がんでは約30~40%程度と報告されています。つまり早期がんの多くは見逃されてしまう可能性があります。特に、右側結腸で生じている大腸がんの場合は、出血が便に混じりにくいこともあり便潜血検査の感度が下がってしまう傾向があります。
また、便潜血で陽性となった方に大腸カメラを行うと、約20〜40%の方で将来的にがん化する可能性のあるポリープが見つかるといわれています。つまり、この数字は『便潜血で陽性になった人を大腸カメラで調べたら、どれくらいポリープが見つかったか』という割合を示しています。
便潜血検査を受けて実際にどれくらいの人が大腸がんと診断されているのか?
実際のデータをもとに計算していくと、大腸がんと診断される方は以下となります。
検査を受けた人全体で見ると(1,000人あたり)
- 50〜80人(5〜8%) が「陽性」と判定されます。
 - その後の精密検査で、約2〜3人(0.2〜0.3%) が大腸がんと診断されます。
 
陽性と判定された人だけに絞ると(50〜80人あたり)
- 約3% で大腸がんが見つかります。
 - 20~40% でポリープ(将来がんになる可能性のある前がん病変)が見つかります。
 
つまり、便潜血検査で大腸がんが発見される確率は、1000人中2〜3人程度(0.2〜0.3%) であり、大腸がんの発見率が低い数字に感じる方もいらっしゃるかと思いますが、無症状の患者集団から大腸がんを見つけていく安全で簡易な検査としては非常に効果的な検査です。
また、今後大腸がんへと成長していく可能性がある前がん病変(線種)が10〜30人見つかることも考えると、便潜血検査は優秀な検査かと思います。
ただし現実には、便潜血検査で陽性と判定されても、精密検査を受けない方が約半数います。そのため、本来見つかるはずのがんやポリープが診断に至らないケースも少なくありません。
便潜血検査は大腸がんの早期発見に有効です!
便潜血検査を受けていただくだけでは大腸がんを発見できるわけではありませんが、大腸がんに気づくきっかけになる非常に重要な検査でもあります。
40歳を超えてからは大腸がんの発症リスクが高まっていくと報告されています。大腸がんの早期発見・早期治療介入ができるよう、便潜血検査は毎年受診するようにしていただければと思います。そして、便潜血検査で異常(便潜血陽性)を指摘された方や、お腹に違和感を感じる方はお早めにご相談ください。大腸カメラ検査でお腹の中の精密検査を実施していきます。