『ストレスと血便って関連性はあるの』について消化器内視鏡専門医が解説します
ストレスと血便って関係性はあるの?
普段診察していると、「ストレスが原因で血便が出ました」と仰る患者さんがいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、ストレスそのものが直接、血便を引き起こすわけではありません。
ただし、ストレスは体にさまざまな影響を与え、間接的に血便につながる場合もあります。たとえば、ストレスによって排便習慣が乱れ、肛門に負担がかかることで痔が悪化し、出血を伴うことがあります。
また、ストレスの蓄積が潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を悪化させるケースもあり、その結果として血便が見られることもあります。ストレスと血便には“無関係”とは言い切れない間接的な関連性があると考えるべきでしょう。
痔と血便の関係性
ストレスが原因で下痢や便秘を繰り返してしまうと、排便時に肛門に強い負担がかかり、いぼ痔(内痔核)や切れ痔などを引き起こすことがあります。このような痔からの出血は、血便として目に見える場合があります。
痔の出血は比較的軽症であることが多いですが、自己判断では痔かどうかの見極めは難しいため、安易に「きっと痔だから大丈夫」と決めつけるのは避けましょう。
潰瘍性大腸炎など、重篤な疾患の可能性も
血便は、痔などの良性疾患に限らず、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、大腸ポリープ、大腸がんなどのサインである場合もあります。とくに潰瘍性大腸炎は、ストレスによって症状が悪化することも多く報告されています。
これらの疾患は、初期段階では軽度の出血しか見られないことが多く、自覚症状が乏しい場合もあります。
血便が見られた場合は、軽視せず**消化器内科での早期検査(特に大腸内視鏡検査)**をおすすめします。
まとめ
ストレスそのものが血便の直接的な原因になることはありません。
しかし、ストレスによって排便異常や腸内環境の乱れが生じ、痔を悪化させることで出血する場合があります。
また、ストレスが炎症性腸疾患を悪化させ、血便の一因になることもあるため注意が必要です。
血便は体からの重要なサインです。たとえ一度だけの出血であっても、ご自身で判断せず、ぜひお早めに当院までご相談ください。
当院では、消化器内視鏡専門医が内視鏡検査を含めた精密な診察を行っております。
文責:中目黒アトラスクリニック 院長 伴野繁雄